「宇宙船サジタリウス」の個人的見解
1986年 1月〜1987年 10月まで、TV朝日系列にて毎週金曜夜7:30より、全77話にわたって放映されたSFアニメです。キャラの外見から、「SF版ムーミン」とよく言われていますが、ほのぼのとした子供向けの外見とは裏腹に、すでに妻子持ちの主人公たちが、夢を追い求めつつも、貧乏や生活苦の狭間でどんな選択をするのか?という人間ドラマが、個性豊かに作りこまれたキャラ、よく練られた台本によって、高い完成度で描かれています。
主役たちは一応、宇宙パイロットですが、特別に選ばれた者でもなく、才能や勇気あるヒーローでもない、等身大、ごく普通のサラリーマン。倒産した輸送会社から退職金代わりに受け取ったボロ宇宙船・サジタリウス号を糧に、零細企業・新宇宙便利舎を設立。行く先々で事件に巻き込まれては、家族という守るものがあるための我が身可愛さ、積極的に捨て身になれない弱さ、葛藤に悩みながらも「それでもこっちの方が…」と、なけなしの勇気を振り絞ったり、迷った末に決断する様がリアルで共感を呼びました。いつもはケンカばかりしている彼らが、ピンチの時には思わず友達のために命を張ってしまうなど、普段は見せない顔、誰もが本当は持っている愛情、友情、家族愛、そういう奥底のものが、時に思わず垣間見えてしまう照れくささ、時にそれらが真正面からストレートにメッセージとして投げかけられる…。子供向けのチャチな動物キャラだと軽んじて観始めても、いつの間にか見入ってしまい、気付けば続きが気になり、ワンエピソード見終える頃には思いがけず心洗われている…そんな力をもった作品だと思います。
また、「普通の人々」というキャラ設定は、我々が共感しやすいというだけでなく、「生命の重さ」とか「忘れかけていた大切なこと」を、却ってヒーローものではやりにくい、等身大の観点から丁寧かつ秀逸に描いたことで、そのメッセージ性を嫌味無く、より高いものに仕上げられているという点で成功していると思います。
そして、メッセージ性のみならず、ギャグあり笑いあり涙あり、でワクワク度もばっちりです。
だからこそ、泣かせ所とのコントラストが光るのでしょうね。
思い出とか思い入れとか…
この番組との出会いは、小学校時代の夏休み前頃でした。
弟が近くの床屋でデルダン編を偶然観たらしく、以降、面白いからと、家でも観るようになりました。観始めの国境の壁編は印象に残りませんでしたが、カニロボット編、アンドロメダの雫編でハマッてしまいました。ファンの方々の間では評判が芳しくないようですが、私は好きです。秋に最終回を観終わった後の、「もう観られないんだ」という残念さといったら…!周囲でハマる人はまずいないし、その後2年も3年も、友達にも語れず密かに「サジ熱」を引きずっていました(笑)。当時はネットも無かったですしねえ。
そうこうするうち、数年後に、古本屋でアニメ誌に、公認ファンクラブ(現在は解散済み)紹介記事を見つけまして、早速お手紙を出したところ、会員番号NO.217番を頂きました(当時はSLクルーというペンネームでした。当サイト名はここから取っています)。ここの会誌内容が、皆さんとてもレベルが高くて、個人誌を出す原動力をもらったと思います。発行時期だけで天然記念物になってしまっていますが…・゜・(ノД`)・゜・。
ビデオを購入して、念願の1話から見ることが出来たのは随分後でしたが、単細胞ゆえか、後半と比べてちょい渋めの大人のノリが、ほんのちょっと取っ付きづらく感じたものでした。でも、繰り返し観れば観るほど、よく出来た緻密な心理描写、ストーリーの完成度の高さに、後半とは少し違う意味で虜になりました(後半はミーハー的に、でしたが)。
大人になった今でも、あまたの子供向けの良作から日々、影響を受け続けていますが、そのような感性・アンテナを育てる基になった幾つかの原点の中でも、後にも先にも1番だろうこの作品との縁が、思い出す度、不思議でなりません。